キャリアヒストリー/SEから起業に女性IT管理職まで
こんにちは。資生堂インタラクティブビューティー(SIB)の櫻井です。
現在、IT本部の「デジタルイノベーション部」の部長を担っています。今回は、私のキャリアヒストリーについてお話ししようと思います。私の話が少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。
学生時代はスポーツに没頭、転機は北京への留学
学生時代はスポーツ、特に武道が好きで、空手や柔道を習っていました。体力がついたおかげで、成人してからワークでもライフでも体力に大いに助けられてきました。
大学の専攻は哲学で、孔子、老子、ソクラテスを研究しました。学生時代の一番の転機は、大学時代に北京へ留学したことです。当時の中国はまだ国営企業が中心で、天安門の前を何千もの自転車が走っていました。留学先が首都の主要な言語大学だったので、欧米、アジア、中東、アフリカ、北朝鮮など、世界中から留学生が集まっていました。その国籍も思想も文化も全員バラバラが当たり前という環境が気に入って、この先の仕事でも何でもグローバルな環境がいいとその時に決めました。留学させてくれた両親には大感謝です。
大学卒業後はSEとしてキャリアをスタート、そして海外へ
大学卒業後はSEとして仕事を始めました。当時は残業100時間超は普通で、オフィスに喫煙スペースがあり、自席でタバコを吸いながら仕事する人もいる時代でした。今振り返ると、アンコンシャスバイアスではなく、そのままのバイアスに溢れている世の中でしたが、スポーツでも女性が一人という状況はよくあったので、特に気にしませんでした。
20代後半に縁あって上海で中国語を活かした仕事を始めたのですが、当時の上海は欧米等の外資が集中していたバブル初期で、その活気をみて、これは英語が必要だと思い、急遽英語の学校に短期間通ってアメリカ系の会社に入りました。大学まで10年やったはずの学校教育の英語は、実践で全く役に立ちませんでした。
マニラで初めて本格的に英語を使って仕事をしたのですが、まだ慣れない英語で技術の話を正確に伝える必要があり、とてつもない集中のなかクーラーでキンキンに冷えたオフィスで、体は寒いのに頭だけ湯気が立ち上るくらい熱かったのを覚えています。ランチも二人前食べていましたが、体重がどんどん落ちていき、ちょっと命の危険を感じるほどでした。
起業へのチャレンジ、大手企業への転職
英語も多少話せるようになり上海で数年仕事をした後に、日本に戻って1年だけ期間限定で起業しました。上海で得た人脈と好きなWebの仕事で、どれだけやれるか試してみたかったのです。
寝食を忘れるほど没頭し、毎朝仕事を始めるのが待ち遠しくて目を覚ますような日々でした。と同時に、オフィスや設備を用意することの大変さ、人を雇う事の重みも実感しました。1年後、その仕事を続けるかどうかの岐路に立った時、続けた場合の未来を真剣にシュミレーションしました。正社員として誰かを雇うことはその人の生活基盤に責任を持つことでもあり、始めたら引き返せないこと、少なくとも10年はコミットしてやっていくことになる未来をその時リアルに疑似体験しました。それはまだ30代に入って間もない自分が進みたい人生とは違っていたので、その事業は畳みました。
その後大手企業で働き始めた時に、なんて快適で楽なのかと思いました。社内会議資料を人数分カラー印刷したり、広いオフィスに最新機器、高級オフィス家具、無料ドリンクやお菓子まで提供したりする一方で、責任は分散されている。一度は提供側にいたので、それらを用意できることの凄さが分かります。大企業であっても、それだけの環境を提供することは容易ではないので、自分が会社に勤めるうちは会社が提供することに対し、自分もプロとして対価に見合う成果はしっかり出そうと意識するようになりました。
前職で大きなプロジェクトを任され、様々な重圧や障害を潜り抜けつつ、信頼する仲間とゴールを達成できた時、人間として成長したことを実感しました。仕事は私にとって社会との接点であり、成長機会を得る場でもあります。
資生堂に入社したきっかけ
前職のオフィス移転に伴い、子供の保育園送迎が難しくなったタイミングで事業方針の転換もあり、自分がやりたいグローバル事業が縮小、国内事業がメインになったので転職を決めました。
新体制が始まってから退職すると会社に迷惑がかかると思い、転職活動期間は実質1ヵ月でした。数社平行して選考が進む中で、資生堂のグローバル戦略と経営理念に惹かれ、入社を決めました。
まだまだ女性管理職比率が低いIT領域の部長としての想い、今後の展望
IT業界に女性が少ないのはどの国も同じだと思いますが、その分IT業界にいる女性はITが好きな人達=ITの才能がある人達だと思います。好きこそものの上手なれと言いますが、ITに携わる女性にはどんどん能力を発揮して活躍してほしいです。
管理職だけがキャリアの道ではありませんが、どの領域でどんな風にキャリアを積んでも、いつかはリーダーとして先頭に立つ時がくると思います。周囲の人や物事に対して、自分事として真摯に向き合える人が真のリーダーだと思いますので、SIBには男女問わずそういうリーダーがどんどん増えていってほしいですね。
プライベートとキャリアのバランスは、性別問わず、誰でも難しい時があり、女性の場合は妊娠や出産がキャリアに影響することもあると思います。私は以前の職場で、熱望していた欧州赴任のオファーと妊娠のタイミングが重なり、赴任を断った経験があります。産休で1年仕事から離れた時は「もう全部忘れた、復帰できない」と絶望していましたが、復職したらすぐ元の感覚が戻り不安はなくなりました。子供が小さいうちは睡眠時間がなかったり、休む間もなく職場と保育園と小児科を往復したり、いろいろ大変なこともありましたが、それよりも子供の成長を見る喜びや子供と一緒に過ごす時間の楽しさ、幸せの方が何百倍も大きく、子供には感謝しかありません。家族や大切な人と過ごす時間は人生を豊かにし、キャリアのモチベーションアップにもつながると思います。
キャリアのどこかでブランクができても身につけた能力やスキルは消えませんし、状況は常に変わっていくので、その時々で自分に合うバランスを見つけて、マイペースでやっていけばいいと思っています。
最後に
資生堂は常にイノベーションと進化を続けるブランドであり、社会貢献に根差した企業です。IT/デジタルで資生堂の変革を推進するSIBは、資生堂グループの未来を創る会社と言っても過言ではありません。様々な仕事の機会があり、難しい課題も多々ありますが、それは成長につながるチャレンジがたくさん見つけられるということです。何より才能ある素敵なメンバーがたくさん在籍している会社なので、チャレンジ精神に富んだ方の参画を心より歓迎します。