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【オムニPBP第7回】美容の新たな扉を開く!手話オンライン美容相談サービスへの挑戦

―手話を用いたオンライン美容相談サービスが本格的にスタートしました!
こんにちは、資生堂インタラクティブビューティー(SIB)の岡崎良士/難聴者です。
これまで6回にわたってオムニPBP(パーソナルビューティーパートナー/デジタルに特化した美容部員)の活動を紹介してきました。今回は11月より新たに始まった手話を用いたオンライン美容相談サービスについてお話しします。
聴覚に障がいのあるお客さまに向けたこの取り組みは、2024年10月のプレオープンを経て、11月7日から本格的にスタートしました。手話や口話、チャットなど、多様なコミュニケーション方法を取り入れ、聴覚に障がいのあるお客さまが抱える物理的・心理的ハードルを解消し、パーソナルな美容体験を提供します。

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背景や課題、サービスの強みは?

社内外の聴覚に障がいのある方々へのヒアリングを通じて、店頭では「手話ができるスタッフがいないため、気軽に相談できない」、「筆談だと時間がかかり、頼みづらい」、「ガヤガヤしたところだとうまく聞き取れない」といった課題が浮き彫りになりました。これらの課題を解決するため、難聴である私を含む社内の当事者が中心となってプロジェクトを立ち上げ、約10ヶ月かけてサービスを構築しました。
“聴覚障がい”と一括りにされがちですが、聞こえの程度や手話の使用頻度、発声状況など様々で、お客さま一人ひとりに合わせたサービスを提供するためには、当事者の声をどれだけ多くこの開発に反映できるかによって、価値伝達の深みが大きく変わってきます。そうした中で、社内のろう・難聴者の協力をいただきながら推進できていることが、何よりの強みだと思っています。

サービスの概要は?

まずは「ベースメイク」、「ポイントメイク」の2コースを週に1回実施。サービス開始時は、オムニPBPのSayaさん、Naoさんが社内のろう者から手話を学びながらカウンセリングを担当しました。並行して、手話スキルを有する障がいのある方々の美容職採用を進めており、将来的には手話を日常的に使っているPBPが担当する予定です。応対を通じてノウハウを蓄積し、さらに利用しやすいサービスへと発展させていきます。

本格始動とした経緯は?

約1か月のプレオープン期間中、お客さまからは「手話で気軽にカウンセリングを受けられることが良い」、「聴覚に障がいのある人にとって、このような場があることは嬉しい。メイクがさらに好きになった」といったお声をいただきました。事後アンケートによるお客さま満足度の平均は、5段階評価中4.9(10月末時点)と高く、ニーズに沿ったサービス展開ができていると分かり、本格始動となりました。満足度平均のほかに、予約率も健聴者コース並を達成し、本当に嬉しく思っています。

サービスの特徴は?

1.最適なコミュニケーションスタイルでカウンセリングを提供
カウンセリングは、お客さまが最も心地よいと感じられるコミュニケーションスタイルで提供しています。手話・口話・チャットなどから選ぶことができ、コミュニケーション時にストレスを感じることなく、個々のニーズに応じた最適な美容アドバイスが受けられます。

2.好きな場所でオンラインカウンセリングが受けられる
オンラインを活用するため、周りを気にせず、好きな時に自宅などの好きな場所で美容アドバイスを受けられます。

3.伝わりやすく工夫した手話を提供
オンラインでも伝わりやすいように手話表現を工夫しています。例えば、画面上で前後に動かす手話は分かりづらいため、左右に動かす手話に変更するなどの工夫をしています。また、カウンセリングの進行も手話での説明と実演に分け、商品提示やイラストなど、視覚情報での説明を多く取り入れており、分かりやすくスムーズな美容アドバイスを受けられます。

カウンセリングの様子

オムニPBP視点での苦労ややりがい

Naoさん、Sayaさんに苦労ややりがいについて聞いてみました。

Naoさん:お客さまとのカウンセリングを通じて、画面越しに手話で伝える難しさを実感しました。特に画面内に手話がしっかり映っているか、色や効果がうまく伝わっているか、見せ方に工夫が必要だと感じています。さらに紹介商品を持ちながらの手話説明は物理的に難しいため、商品を見せてから説明するといった時間配分のコントロールが求められます。そんな試行錯誤の中でも、お客さまの笑顔が見られた瞬間は、特別な喜びを感じました。

手話という言語を身に着けることで、視野が広がった気がします。今後はよりスムーズな手話表現でお客さまに提案が行えるよう、さらなる手話習得を目指します。美容の情報だけでなく、日常会話も楽しめるように手話を磨き、より楽しいカウンセリングを提供したいと思います!

Sayaさん:1対1での応対なので、お客さまもとても意欲的に質問してくださいました。手話の読み取りはほぼできたので、手話での表現力をさらに磨き、1人ひとりに合わせたベネフィットやパーソナルな提案を分かりやすくお客さまに伝えていきたいです。手話表現はいつも以上に“ストレートに分かりやすく“を意識する必要があります。例えば、「落ちなくもない」等、曖昧な表現をしがちなのですが、「落ちます」とはっきり伝えるよう心掛けています。伝わった時は本当に嬉しいですね。盛り上がりすぎて、時間が足りなくなってしまった方もいらっしゃったのですが、次回も予約してくださる方もいらっしゃいました。資生堂のファンになって頂けるようなカウンセリングを多くの方々に届け、この活動が社会的に認知され、広まっていくことを目指したいです!

Naoさん(左)・Sayaさん(右)

さらに2人は2024年5月からInstagramのアカウントで手話による美容情報の発信も開始しました。聴覚に障がいのあるお客さまにも美容情報を入手いただけるよう分かりやすく発信を行っています。

・Saya Instagramアカウント:https://www.instagram.com/saya38_beautypartner_shiseido
・Nao Instagramアカウント:https://www.instagram.com/nao33_beautypartner_shiseido

資生堂が創る、多様性を活かす美容の未来

資生堂は一人ひとりの「個性および多様性」に注目し、オンライン美容相談サービスを通じて、社会全体の聴覚障がいに対する理解を深めていきたいと考えています。NaoさんとSayaさんのカウンセリングは、まさにその理念を体現しています。2人の一生懸命な姿勢は、「あなたに伝えたい」、「あなたのことを理解したい」というコミュニケーションの本質を捉えていると思います。このサービスが、聴覚障がいのお客さまに新たな美容体験を提供するだけでなく、社会全体の理解を深める一歩となることを願っています。

オムニPBPのメディア紹介

※オムニPBPの活動サービス詳細は以下よりご確認ください!
オムニPBP専用サイト
Find Beauty LIVE(ライブコマース)
オンラインビューティー(Webカウンセリング)

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次回【オムニPBP第8回】の連載もお楽しみに!

(執筆者:岡崎 良士)

資生堂インタラクティブビューティー株式会社 オムニエクスペリエンス推進部所属。 2016年に中途採用で株式会社資生堂に入社し、資生堂ヘアメイクアップアーティスト(以下HMA)の企画・プロデュースを担当。現在は当部にて、HMAのほか、社員インフルエンサーを担当。難聴者の立場から本サービスの企画推進リードも務める。趣味は旅行・ファッション

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